【茅原実里 インタビュー】未来への希望と感謝の気持ちを全て詰め込んだラストアルバム「Re:Contact」リリース!

2021年をもって歌手活動休止を発表している茅原実里がラストアルバム「Re:Contact」を自身のバースデーである11月17日(水)にリリース。本作はアーティスト活動休止前にリリースされる最後の作品で、ファンへの感謝の思いが詰まった珠玉の5曲を収録。これまで茅原楽曲に関わってきた強力な作家陣が集結し、茅原実里のアーティスト活動の軌跡が感じられる特別な作品となっている。活動休止前に今何を思うのか、本作に込めた特別な思いも含めたっぷり語ってもらった。

 

「Re:Contact」 茅原実里

通常 ハイレゾ

インタビュー:mora スタッフ

 

これまでの道のりの中で出会ったすべての人に感謝の気持ちを

――先日2021年をもって歌手活動を休止することを発表されましたが、今の率直な気持ちを教えてください。

茅原実里さん(以下、茅原):2021年12月26日に神奈川県民ホールで開催されるラストライブまでしっかり走りきろうという前向きな気持ちでいます。私は2004年に歌手としてデビューして、2007年からランティスさんとともに本格的に音楽活動をはじめました。長い間、音楽を通して充実した経験や時間を過ごさせてもらってきたので、これまでの道のりの中で出会ったすべての人に感謝の気持ちを歌で届けたいですね。

 

――改めて歌手活動休止という大きな決断に至ったきっかけ(や経緯)についてお聞かせください。

茅原:コロナ禍になり自分自身と向き合う時間がとても長くできたというのがきっかけです。歌手として活動していく自分の今後が見えなくなったというのが理由ですね。誰にでも仕事をしていく上でぶつかる壁や悩みがあるように、私もこれまで一人のシンガーとして誰にも話せないような悩みや葛藤がありました。ありがたいことにこれまでは忙しい日々の中で乗り越えられたこともあったんだと思います。だけど、今回はとことん自分自身と向き合って話し合える時間があったんですよね。ここは乗り越えるよりもストップして、大好きな歌から離れて別の道を模索することの方が、今後自分らしく生きていける選択だという結論に至りました。

 

――これまでのアーティスト活動を振り返っていかがですか?

茅原:2004年に長年の夢だったCDデビューを果たしてからは、小さなライブハウスなどで定期的にライブメインのイベントをしながら次のリリースを探っていましたが、なかなか実現することができなくて。試行錯誤の末に作詞作曲してギターを抱えて秋葉原でビラを配って路上ライブをしながら過ごしている時期もありました(笑)。

そんな中で2006年にTVアニメ「涼宮ハルヒの憂鬱」で、ランティスというレーベルに出会い、ご縁が生まれて2007年から本格的に音楽活動をしていくことになって。自分が声優としても活動していたのでアニメの主題歌を唄わせていただく機会も増えて、海外のフェスに呼んでいただいたりと、どんどん活動内容は濃密になっていきました。

CDを作って、リリースして、ツアーをするという流れがひとつのライフワークとして出来上がって、自分が想像していた以上に幅広い経験をさせていただきました。中でも、山梨県にあるコンサートホールの河口湖ステラシアターでは、2009年から13年間にわたって毎年サマーライブを開催してきました。全国各地や海外からも毎年ファンのみんなが河口湖に集ってくれて、河口湖町のみなさんも応援してくれて。本当にたくさんの幸せな時間がありました。私はこれまで唄っている時が一番「生きてる!」って実感できたのでライブステージは特別な場所でしたね。音楽活動を通して自分の人生を本当に豊かなものにしていただいたと思っています。

 

――活動休止前にリリースされる最後のアルバム「Re:Contact」どのようなアルバムに仕上がっていますか?

茅原:ランティスさんからリリースしたファーストアルバムは「Contact」で、コンセプトは茅原実里というシンガーが、これから新しい音楽やさまざまな人に触れながら、歌を通して色々な経験を吸収しながら成長していくというものでした。なのでラストアルバムの「Re:Contact」に込めた思いというのは、音楽を通して成長してきた私が、また次の新しい世界へ再びContactしていくはじまりなんだよという、とても前向きなものなんです。

 

「Contact」 茅原実里

通常 ハイレゾ

 

茅原:実はもともとアルバムを作る予定はなかったんですけど、どんな時も私のことを応援し続けてくれたファンのみんなに向けて、最後に歌を届けたいという強い思いが芽生えて制作することになった作品なので、これまでファンのみんなが私に注いでくれた愛情で出来上がったアルバムなんです。本当にみんなには感謝の気持ちでいっぱいです。

 

茅原実里の音楽の歴史の旅

――1曲目はアルバムタイトルにもなっている「Re:Contact」。「変えてみせる」「迷いながら進もう」など強い意志が感じられるような楽曲ですが、どのような思いで歌われましたか?

茅原:「Re:Contact」は、「Contact」を彷彿とさせる疾走感のある楽曲で、茅原実里といえばこれだよね!っていう絶対的な安心感もあるし、サウンド的にも初心にかえって私の音楽を味わえる一曲です。ランティスさんからリリースされたファーストシングル「純白サンクチュアリィ」から、菊田さんと畑さんには私の土台をしっかりと作っていただきました。

「純白サンクチュアリィ」 茅原実里

通常

 

茅原:このお二人が生んでくれた名曲は本当にたくさんあって、一曲の中には過去に菊田さんが作ってくれた色々な楽曲の欠片が散りばめられているので、その時代その時代を思い出して懐かしくもなります。畑さんには歌詞を通してずっと育ててもらってきたような感覚があるので、最後にまた畑さんの歌詞を唄えたことが本当に嬉しかったですし、受け取ったときは、なんて優しくて心強いメッセージなんだろうって…ありがたく思いました。ここから私はしっかりと一人で立って歩いていかなくちゃって、心を新たにすることができました。

 

――2曲目「a・b・y」はアップテンポの曲を力強く歌いあげています。本作の制作はいかがでしたか?

茅原:俊龍さんとは養成所時代から切磋琢磨してきた仲間で、数々の楽曲を作っていただきました。最後のアルバムに収録される一曲ということで、楽曲から感じ取れる膨大なエネルギーは私へのエールなんだろうなって感じて嬉しかったです。

また、長年タッグを組んできた藤田さんに編曲をお願いしたこともあり、ファンのみんなが喜んでくれるだろうという確信もあって、早くみんなに聴かせたいなってずっとワクワクしていました。今回のレコーディングは各曲の作曲者がディレクションをしてくれたので、養成所時代にスタジオで一緒にデモテープ作りをしていた頃のことも思い出しましたね。

奥井さんは、私の気持ちやファンのみんなの気持ちを大切に歌詞に落としこんでくださいました。私の気持ちや、ファンのみんなの気持ちを想像しながら、奥井さん自身の願いも込められているということで、様々な視点から生まれたひとつひとつのフレーズが心に刺ささって…。タイトルは古い英語で“贖罪”という意味を持っているそうなのですが、この歌詞を受け取ったことで、これから自分に負けないように、私を好きでいてくれるみんなに、もっともっといい笑顔が見せれるような未来にしていかなくちゃいけないなって思っています。

 

――3曲目「FEEL YOUR FLAG」は“新たな旅立ち”を感じるような歌詞が印象的でしたが、本楽曲の聴き所を教えてください。

茅原:打ち合わせでは松井さんの優しい言葉にずっと涙が止まらなくて大変でした(笑)。この楽曲は、ライブで旗を振る「旗曲」なんですけど、それを踏まえた上で、これまでパレードの先頭で旗を振っていた私に、今度はファンのみんなが旗を振って私の船出を応援してあげる、見送ってあげる、そんなイメージで希望のある歌詞にしたいっておっしゃってくれたんですよね。

詞の中にはこれまでのアルバムタイトルのすべてを示すワードが刻まれているので、茅原実里の歴史を辿る旅のような歌だなと思っています。私とファンのみんなの間にある絆や人間関係が未来に向けて力強く進んでいく印象を受けて、あらためて松井さんに出会えて良かったなって心から思いました。藤末さんには元祖の旗曲でもある「Lush march!!」のようなワクワクさもありつつ、キラキラと希望に溢れる曲をイメージして作っていただきたいというようなお話をしました。

Lush march!! 茅原実里

通常 ハイレゾ

 

茅原:これまで藤末さんに作っていただいた楽曲はすべて私のストライクゾーンど真ん中なので、ただただデモが送られてくるのを楽しみに待っていたんですけど、はじめて聴いた時はイントロからグッときて涙が出ました。あたたかさ楽しさや切なさや美しさ…色んな要素の詰まったドラマチックな楽曲で、これまでの思い出が走馬灯のようによみがえってきて。あっという間に聴き終わってしまうので何度も何度も聴きました。遊び心も詰まっているし、過去に作っていただいた「KEY FOR LIFE」と同じメロディで力強く締めくくられているのにも感動してしまって。ライブで旗を振りながら唄うのが楽しみですね。

 

KEY FOR LIFE 茅原実里

通常 ハイレゾ

 

――4曲目「いつだって⻘空」は雰囲気が変わり、爽やかな温かみのあるミディアムチューンとなっていますが、どのようなイメージで制作されたのでしょうか?

茅原:黒須さんが作ってくれる曲にはいつも大きな愛が溢れていてあたたかくて安心感があるんです。人にも音楽にも誠実な黒須さんの人柄が、本当にそのまま音に生まれ変わったような優しい楽曲だなって感じましたね。今回はみんなの心がひとつになって、幸せになれるような曲を…とお願いしていたんです。

purest note ~あたたかい音 茅原実里

通常

 

茅原:これまで作っていただいた楽曲の中でも「purest note ~あたたかい音」は、ファンのみんなと私の絆を音楽として示してくれた楽曲だったし、この楽曲があったからこそみんなとの愛をより大きく育んでいけたと感じているんです。それこそ、河口湖ステラシアターのライブでは定番の一曲で、音楽でみんなの心をひとつに束ねることができるっていうのを身をもって教えてもらいましたね。送られてきたデモを家ではじめて聴いた時は、涙もでちゃうし、気づいたら笑顔になってるしで、なんだか感情が大きく揺れ動いて大変でしたっ(笑)。

こだまさんが歌詞を書いてくださったんですけど、はじめて「いつだって青空」を読んだ時は、陽だまりのようなあたたかさに包まれているような感覚になりました。大丈夫だよ。これから先の未来にもまだまだたくさんの喜びが溢れているんだよ、待っているんだよ!って。打ち合わせの時に泣いてばかりいた私の背中をさすって励ましてくれているような自然で優しい歌詞でした。昔からこだまさんの歌詞が大好きで、いつも歌詞を受け取るのも唄うのも楽しみで仕方ありませんでした。最後にこだまさんの歌詞を唄えて幸せを感じていました。

 

――5曲目「Sing」ご自身で作詞された楽曲ですが、作詞にあたり本楽曲に込めたメッセージを教えてください。

茅原:2007年からバンマスとして私を支えてくれたケニーこと須藤賢一さんにはじめて作曲をお願いしました。これまでのライブではずっと私の背中を見守りながら演奏を支え続けてくれていたケニーの曲を唄いたいとはじめて自然に思ったんです。打ち合わせの時に詞先でいくことが決まって、河口湖ステラシアターでファイナルライブを終えてから作詞の作業をはじめました。サマチャンが終わってから締め切りまで一週間もなかったんですけど、みんなへの想いはとてもシンプルだったのでわりと早く書き終えることができたと思います。

私は「唄うこと」と「みんなの笑顔」が大好きだったんです。だからここまで唄い続けてくることができたんですよね。歌手活動がなくなれば、きっとみんなと会う機会も少なくなるはずで。だからこそ “いつだって同じ空の下にいるよ!”って伝えたかったんです。いつだって私はみんなのことを応援してるし、いつだってみんなには笑っていて欲しいんだよ!私はずっとずっとみんなのことが大好きなんだよ〜〜〜!って。私の幸せはみんなの幸せなんです。

 

――moraは高音質ハイレゾ音源も取り扱っている音楽配信サイトですが、アルバム全体を通してハイレゾ音源で是非注目して聴いて欲しいポイントがあれば教えてください。

茅原:今回のアルバムは色とりどりの楽曲で構成されていて、サウンドの面でも「Contact」時代のデジタルサウンドを意識しながら制作しているので、ハイレゾ音源で「Re:Contact」を聴きながら茅原実里の音楽の歴史の旅をしていただけたら嬉しいです。作った音楽をより良い音質や音響でお客さまに聴いてもらえるというのは、私自身もそうだし、作家のみなさんをはじめ、ミュージシャンのみなさんや楽曲制作に携わった音楽が大好きなすべての人にとって幸だしありがたいことなので、楽しんでいただけたら嬉しいです!ぜひ、感想なども教えてくださいね!

 

――最後にmoraでアルバム「Re:Contact」をお聴きになる皆様にメッセージをお願いします。

茅原:あらためて、これまで私の歌に触れてくださったすべてのみなさんに感謝の気持ちをお伝えしたいです。高校生のころから歌手になる夢を抱いて、幸運にもシンガーという道を歩むチャンスをもらって、これまで充実した日々を過ごさせていただきました。歌が大好きな気持ちや、様々な音楽や人に出会って受け取ってきたたくさんの愛が「Re:Contact」に詰まっています。未来への希望を感じてもらえる作品が出来上がったと思うので、ぜひ聴いてください。よろしくお願いします!

「Re:Contact」 茅原実里

通常 ハイレゾ